演題名 博友会における鉄剤開始基準の検証
演者名 友愛三橋クリニック
 廣瀬 悟 黒川 仁
友愛クリニック
 金 成洙 大野玲奈 小林淳晃
 四宮敏彦 倉根理一 下山博身
学会名 第56回日本透析医学会
開催日 2011年6月19日
開催地 パシフィコ横浜

目的
 2006年にESA製剤が包括化され、効率的な使用が求められている。
 ガイドラインでは、目標Hbは10から11 g/dLが推奨されているが、鉄補充の開始基準はTSAT 20%以下、Fer濃度100 ng/mL 以下との意見に留まっている。
 博友会は2007年の本学会で、EPO抵抗性の検討からFer濃度50以下は絶対、以後TSAT30%を目標に鉄補充することを提唱してきた(図表1〜4参照)。今回、この開始基準の有用性を検証したので報告する。
 
博友会における鉄開始基準
 フェリチン 50 ng/ml 未満は絶対適応とし
 TSAT 30%以上を目標とする
ESA抵抗性の定義
週間ESA投与量 / Hb / 体重
方法
2010年3月における博友会の鉄指標を2007年12月における日本透析医学会のデータと比較した。
2006年3月から2010年3月までEPOを継続した患者153名における2006年3月(独自鉄開始基準導入前)と2010年3月(導入後)のデータを比較した。
結果1
2010年3月現在、大半の患者はHb10〜12に管理されていた。図表5
2007年の透析医学会のデータと比較すると、博友会はHbが高目にシフトしていた。図表6
鉄指標の比較では、FeとTSATに差を認めなかったが、Ferritinは博友会が著しく低く、約1/2であった。図表7〜9

 
結果2
4年間EPOを継続した症例で、独自の鉄開始基準を導入した前後のデータを比較した。図表10
Hbは有意に上昇していた。
鉄指標は、TSATが有意に上昇していたが、Ferritinには差を認めなかった。
EPO抵抗性は低下する傾向を認めたが、有意差には至らなかった。
 
結果3
2010年3月現在の博友会4施設の週間EPO使用量を算出した(DAは200倍で換算した)。図表11
博友会の平均Hbは全国平均より高かった。
博友会の平均EPO使用量は3041U/週(ESA非投与者は0U/週として算出)で、全国平均の3940U/週より少なかった。
考案
近年、前田らより低Ferritinでの鉄管理が提案されている。(前田貞亮他:血液透析患者の鉄の至適指標は低フェリチリン高 TSAT.日本透析医会雑誌 22: 242-249, 2007.)
博友会では日本透析医学会のデータと比較して、極めて低いFerritinにも関わらずHbは良好にコントロールされていた。
独自の鉄剤開始基準導入後、Ferritinの増加させることなく、Hbの上昇を達成できた。
博友会のESA使用量は少なく、博友会の鉄剤開始基準は有用と思われた。
結語
フェリチン 50 ng/ml 未満は絶対適応とし
TSAT 30%以上を目標とする

博友会の独自鉄剤開始基準は有用である。

 
文責 廣瀬 悟
   
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