薬剤ミニ情報
2011年
 
 
薬とアルコールの飲み合わせ
 12月、1月とアルコールを飲む機会が多くなる時期です。アルコールは、肝臓でアセトアルデヒドに代謝(分解)され、速やかに酸化されて酢酸に なり、さらに二酸化炭素と水になって排泄されます。透析患者さんでは、飲んだアルコールは水分で体重増加を招き、特にワインやビールはカリウムや リンが含まれているため注意が必要です。又、透析患者さんは、多種類の薬を服用しており、アルコールの飲用で薬の効果が不安定になることもあるた め、以下の飲み合わせにご注意ください。1)アルコールと薬の作用が重なり薬の効果が強まる場合・・(例)中枢神経抑制作用を持つ睡眠剤・鎮痛薬・抗ヒスタミン薬等。血管拡張作用をもつ降圧剤では血圧が下がりすぎたり、抗糖尿病薬ではアルコールにより肝臓からのブドウ糖の放出が抑えられ低血糖おこすことがある。2)アルコールが薬の分解を阻害し薬の効果が強まる場合・・(例)抗けいれん薬 (アレビアチン等)、咳止め薬(リン酸コデイン)、強心薬(ジゴキシン)、ワーファリン等。 3)薬がアルコールの分解を遅く(アセトアルデヒド を分解する酵素の働きを阻害)し、体内にアセトアルデヒドが増える場合・・(例)セフェム系抗生物質では体内に毒性のあるセトアルデヒドが増え、 顔面紅潮・めまい・吐き気等二日酔いの症状(ジスルフィラム症候群)が出現することがある。4)過量の飲酒習慣により薬の分解を速め薬の効果が弱 まる場合・・(例)抗不整脈薬(インデラル)、気管支拡張薬(テオドール)等。以上、他にも飲み合わせの例があり、又、市販のアルコール入りの栄 養ドリンクを多量飲用すること等も控えてください。 

血管石灰化とリン吸着剤
 透析患者さんの血管石灰化は、高リン血症、血中リンとCa(カルシウム)積の高値、糖尿病が重要な因子で進行するといわれています。最近、リンの高値が関 連して血管の平滑筋を骨芽細胞に変化させ、血管石灰化を起こしているとも考えられています。血管石灰化による動脈硬化で心血管障害や脳血管障害が起きやすくなり、特にリンのコントロールが大切になります。高リン血症薬(リン吸着剤)は、『Ca含有製剤』とCaを含まない『非Ca含有製剤』 に分類されています。Ca含有製剤(一般名:沈降炭酸Ca)には、カルタン錠・細粒、沈降炭酸Ca錠があり、食後、時間をおいて服用するとリン吸 着効果が低くなり、又、活性ビタミン剤を併用していると血中のCa濃度が高くなります。沈降炭酸Ca含有製剤の用量は1日3gを超えないことが推 奨されています。非Ca含有製剤には、レナジェル又はフォスブロック(一般名:塩酸セベラマー)、ホスレノール(一般名:炭酸ランタン)があ り、これらはCaを含まないため活性ビタミンD剤と併用しやすいのが利点です。レナジェルは、コレステロールを吸着、酸化ストレスや石灰化の進行 を抑制する等、多面的な作用がありますが、便秘になりやすいため適正な便秘薬の併用が望まれます。ホスレノールは、少ない錠数でリン吸着効果の高 い薬ですが、崩壊剤を含んでいないため口中でよく噛み砕いて服用することが大切です。メーカーが、クラッシャー(砕く器具)を用意していますので 必要な方は申し出てください。来年の夏頃にホスレノール顆粒製剤の発売が予定されています。

末梢動脈疾患(PAD)とその薬
 末梢動脈疾患(以下PAD)は、動脈硬化による下肢の血行障害により発症する閉塞性動脈硬化症(ASO)と閉塞性血栓血管炎に分けられます。最 近は、ASOの発症頻度が高く、PADというと多くはASOのことをさしています。末梢動脈がつまり血流が悪くなると、しびれや足の冷感、間歇性 破行(少し歩くと足が痛くなり、休むと治り、又歩き出すと痛くなる)等が起きたり、悪化すると組織が壊死を起こし足の切断が必要になることがあり ます。又、全身にも動脈硬化が進んでいる場合が多く、脳・心臓等の循環障害を起こすこともあります。透析患者さんは、糖尿病・高血圧・高脂血症を 合併していたり、透析による急激な血管の収縮・拡張、リン・カルシウムの代謝障害による動脈壁への石灰沈着等によりPADの発症率が高いといわれ ています。(最近では、低栄養と慢性的な炎症が動脈硬化を引き起こすともいわれています)早い予防が大切で、当クリニックでも足の皮膚の状態のチ エック、足の血行障害をみるABI(足関節ー上腕血圧比)や石灰化の影響を受けにくいTBI(足趾ー上腕血圧比)の検査がおこなわれています。 PADの治療薬は、動脈のつまりの原因となる血小板の働きを抑える抗血小板剤(商品名:プレタール、エパデール、バイアスピリン等)、血管拡張薬 (プレタール、オパルモン又はプロレナール、アンプラーグ等)が使用されます。その中でプレタールは有効な薬ですが頭痛・頻脈等の副作用が時々み られます。メーカーによれば少量から少しずつ増量し服用すると副作用が緩和されるようです。他に、筋肉運動により血流の流れをよくし、新たな血管 通路を発達させることも奨められます。

利尿薬について
 透析患者さんの中には、透析導入後も腎臓の働きが残っていて尿の出る方がいます。尿量が一定量あれば、尿量分だけ体重の増加がないので心臓への 影響も少なく、又、カリウム、リン等電解質のコントロールがしやすいため、透析導入前からの利尿薬が継続処方されていることがあります。しかし、 しばらくして透析年数が経過し尿量が一日200〜300ml以下に減る状態になると、尿の中身は殆ど水になり、腎臓の尿素等の老廃物を排泄する働 きが低下し利尿薬の効果が低くなってきます。透析患者さんが使用する利尿薬には、ループ利尿薬に分類されるラシックス、ダイアート等が効果的とさ れています(カリウム保持性利尿薬に分類されるアルダクトンAは、透析患者さんには不適)。腎臓は、糸球体のフィルターで尿細管へ濾し出された水 の殆どを再び尿細管から血管内に戻し、水分の調整をする働きもあります。利尿薬は、この尿細管に働いて体内のナトリウム(Na)と水を一緒に尿と して出し、むくみをとり血圧を下げる作用がありますが、長期投与するとNaが排出されることの代償として尿酸の再吸収が促進され尿酸値が上がった り、尿中へのカリウム(K)排泄によりK値が低くなったりといった副作用がおきることもあります。尿量チエックで無尿(100ml/日以下)に近 くなれば利尿薬服用の意味がなく、処方が中止になるでしょう。

塩分(塩化ナトリウム)について
 今年は、猛暑、節電の影響で熱中症の人が続出しました。汗をかくと一緒に塩分(NaCl:塩化ナトリウム又は食塩)も出ていきます。人の体は、 水分だけを補充すると、塩分濃度を保とうとさらに水分を出して脱水状態になるため、水と共に塩分の補充も必要とされています。体の中の塩分は、ナ トリウムイオン(Na)とクロルイオン(Cl)に分かれていて、Naは体液の浸透圧を保ったり、神経や筋肉の働きに関わり、Clは、酸・アルカリ のバランスの調整に働いています。医療用の「生理食塩水」は、体液とほぼ同じ浸透圧で0.9%の塩分濃度(水TL中食塩9g含有)となっていて注 射薬の希釈や、透析中の血圧低下時等の補液に使用されています。慢性的に塩分の摂取が多いと、体は、体液の塩分濃度を保とうとして水分を取り込 み、その結果血液量が増え血管が圧迫され血圧が上昇し、高血圧症、心臓病の原因となることがあります。透析患者さんでは、透析と透析の間の体重増 加を抑えるため、塩分摂取の目安はT日5〜7g位をとされています。参考までに食品中の塩分量の計算方法(目安)を次に記します。食品中に Na・・mgと表示あるものは、塩分量としては2・54倍(Na分子量23、NaCl分子量58.5から)に換算(食品ではNa化合物のほとんど が塩分であると考えた時の換算で、実際は塩分以外に含まれるNaもあり、塩分量は少なめとなる)します。例:ポカリスエット Na含有量 490mg/Lの塩分量の換算 ⇒ 490mg×2.54=1245mg(1.245g)・・・と約0.12%の濃度になり、長時間運動続けた場 合等の水分・塩分補給に有効な濃度とされています。

皮膚の状態に合わせた外用剤を
 外用の塗り薬には、「軟膏剤」、「クリーム剤」、「ローション剤」等の剤形があります。外用剤は、その薬成分と基剤(薬を一定の大きさや濃度に するために加えられる添加剤。吸収をよくしたり皮膚を保護する)から作られています。基剤には、@水と混ざらない油性成分・・ワセリン、ミツロ ウ、ステアリン酸等 A水と混ざる水性成分・・グリセリン、エタノール等 B水と油のように混ざらない境界面に働き均一な状態につなぐ界面活性 剤・・モノステアリン酸グリセリン等 Cその他の添加物・・防腐剤(パラオキシ安息香酸メチル等)、抗酸化剤(アスコルビン酸等)、酸・アル カリ調整剤(クエン酸ナトリウム等)があります。例えば白癬菌(水虫)を例にとると、水虫は、皮膚の角質層に菌が付き、24時間以上はがれない状 態で、高温・多湿の環境の中で発症します。水虫の薬は、薬局の店頭等に幾種類も並べられていますが、その剤形の特徴を次に記します。「軟膏」・・ ワセリンが基剤で、油性でベタベタするが、刺激が少なく傷があっても使用しやすい。「クリーム」・・水性と油性を界面活性剤で混合させていて、使 用感が良く、浸透性が良いが湿潤部には刺激がある。「ローション、スプレー」・・アルコールを含んでいる液状のため浸透性が良いが刺激があり、傷 やびらんには不適である。「パウダー」・・びらん部の乾燥に適する。 効果的に治療するためには皮膚の状態に合わせた剤形の薬の選択が大切です。 又、薬を塗る時期は、薬の吸収を高めるために皮膚の角質層に水分が充分に含まれている入浴後が望ましいといわれます。  

新しい持続型の貧血治療薬「ミルセラ」
 腎臓機能が悪くなると、エリスロポエチン(EPO)という腎臓で赤血球をつくるホルモンの産生が低下し、多くの方が貧血になります。1990年 には、貧血治療(注射)薬として週2〜3回投与の遺伝子組み換え技術によってつくられたEPO製剤「エスポー」(一般名:エポエチンアルファ) や「エポジン」(一般名:エポエチンベータ)が登場しました。これらは、骨髄で赤芽球系細胞のEPO受容体に作用し赤血球をつくるESA製剤 (赤血球造血刺激因子製剤)とよばれます。2007年には、週に1回又は2週間にT回投与の持続性ESA製剤「ネスプ」(一般名:ダルベポ エチンアルファ)が発売され、半減期(薬が体に作用する時間の目安。薬の血中濃度が半分になるまでの時間)が約3倍に延長されました。さらに今年 7月には、2週又は4週間に1回投与と大幅に投与間隔を延長した「ミルセラ」(一般名:エポエチンベータペゴル)が発売されます。「ミルセ ラ」(MIRCERAの訳:月に1回の注射で実現された持続的にEPO受容体に作動する薬)は、従来の「エポジン」にメトキシポリエチレングリ コール(無毒で水になじみやすい高子分子化合物)を結合させた持続性ESA製剤です。分子量(6万)が大きく、体中をぐるぐるまわり血液中や肝臓 に多く分布されます。分解されにくくなるため半減期が100時間以上と長くなり、ヘモグロビン(血色素)濃度が緩やかに上昇、急激な血圧の上昇が 起こりにくいといわれます。安定した貧血改善効果に向け、ESA製剤の選択肢が増えました。

カルニチン欠乏症の薬「エルカルチン錠」について
 カルニチンは、体内では、僅かに心臓・肝臓でリジンやメチオニンというアミノ酸から合成されますが、大部分は食事(牛肉等の赤身の肉に多く含 む)により補給されます。主に心臓や骨の筋肉細胞の中にあり、細胞中のミトコンドリア(脂肪酸を燃焼してエネルギーをつくる)の中へ脂肪酸を運 び、ミトコンドリアの代謝を活発にします。又、赤血球細胞膜を強化、安定化し、貧血にも関ります。カルニチンが不足すると、心臓や骨格筋にエネル ギーとして利用されない脂肪が蓄積して細胞組織が障害を受け、筋力の低下や心疾患を起こす一因となることがあります。又、抗てんかん薬等の服用に より、カルニチン欠乏症を招くことがあり留意が必要です。透析患者さんは、カルニチンは水溶性で分子量が小さいため透析で除去されやすい、食事制 限によりカルニチンの原料となるリジンやメチオニンの摂取が少ない、腎臓でのカルニチンの合成能力が低下している、等によりカルニチン不足になり やすいといわれ、サプリメントで補充される方もおりました。カルニチン成分の医薬品では、先天性代謝異常症の治療薬「商品名:エルカルチン 錠」(一般名:レボカルニチン)がありますが、今年3月に適応を広げ、効能・効果が『カルニチン欠乏症』に変更されて透析患者さんにも使用できる ようになりました。「エルカルチン錠」では、@透析中の筋肉のけいれん(こむら返り)、筋肉痛 A透析中の低血圧 B不整脈 C倦怠感 Dエリス ロポエチン(EPO)大量投与にも関わらずEPOに反応しない貧血等の改善が期待されます。今後、臨床症状等から投与が検討されると思います。 

非ピリン系解熱鎮痛薬アセトアミノフェンについて
 解熱鎮痛薬の一つ、非ステロイド性抗炎症薬NSAIDs(商品名:ロキソニン、ボルタレン等)は、炎症や痛み、熱を引き起こす原因となるプロス タグランジン(以下PG)の生成阻害により解熱鎮痛作用を示しますが、抗血小板作用により出血し易くなったり、消化性潰瘍や腎臓の血流障害による 腎障害(透析患者さんでは使用可能)、喘息等の副作用を起こすことがあります。次に、ピリン系解熱鎮痛薬(商品名:スルピリン、セデスGに一部配 合)は、即効性があり、強い痛みに効きますがピリンアレルギーに注意が必要です。解熱鎮痛薬の中で副作用が少なく、比較的安全で基本薬とされてい るのが非ピリン系解熱鎮痛薬のアセトアミノフェン(商品名:カロナール、PL顆粒に一部配合)です。アセトアミノフェンは、全身のPGを阻害する NSAIDsと異なり抗炎症作用は弱いのですが中枢のPGの生成のみを阻害し、胃腸・腎障害、出血等の副作用が弱いため、一般的には慢性腎臓病患 者さんやワーファリンを併用している人に使用されやすい薬です。又、アセトアミノフェンは、肝臓で代謝され、尿中への排泄率は低いのですが、透析 患者さんでは代謝物が蓄積され、再びアセトアミノェンとして吸収されるため血中濃度が上昇するという報告があります。日本では通常量の設定がもと もと低いため透析患者さんにも通常量が使用されています。但し、頻繁に服用する場合(市販の風邪薬,頭痛薬に配合されているため重複に注意)は、 肝障害を起こさないよう肝機能検査の値に注意が必要です。(追記)このたびの東日本大震災のような非常時に備え、日頃服用している薬と説明書及び お薬手帳は、いつでも持ち出せるようにご留意ください。 

新しい神経障害性疼痛治療薬「リリカ」
 今回は、神経の損傷により、様々な知覚異常を伴って発症する神経障害性疼痛に効く薬について記載します。神経障害性疼痛は、傷ついた神経の場所 により、末梢性と中枢性(脳卒中後疼痛等)に分けられます。末梢性の疾患には、帯状疱疹後神経障害、糖尿病性神経障害(高血糖により体のすみずみ に広がる末梢神経の働きの低下によりおこる)、三叉神経痛等があります。特に、糖尿病患者さんの半数近くの人は、しびれや痛みなどの末梢性の神経 症状を伴うことが多く、ビタミン剤やキネダック(ブドウ糖から神経障害をおこすソルビトールの生成に働く酵素を阻害することにより神経細胞内での ソルビトールの蓄積を抑える薬)、痛みが強くなるとメキシチールや抗けいれん薬等が使用されてきています。最近、これら神経の痛みに効く新しい薬 「商品名:リリカ」(一般名:プレガバリン)が注目されています。すでに昨年6月に帯状疱疹後神経痛の効能・効果をもつ薬として発売になっていま したが、新たに、「末梢性神経障害性疼痛」の効能・効果の承認を得て使用されるようになりました。海外では、神経障害性疼痛の第一選択薬として奨 められています。「リリカ」は、神経系のなかで、カルシウムの流入を抑えてグルタミン酸等の神経伝達物質が過剰に出るのを抑え、興奮する神経を鎮 め、痛みを和らげます。服薬し一週間位から効果が出始めるといわれています。腎排泄性で透析により58%位抜けるため、症状により低用量の一日量 に加え透析後の追加調整が必要なこともあります。副作用にはめまい、ふらつき、嘔気があり、夕食後又は眠前の服用が好ましいようです。

高尿酸血症の新しい治療薬「フェブリク錠」
 一般に、尿酸値の高い状態が続くと血液に溶けきれなくなった尿酸が関節内に尿酸塩(結晶物)をつくり痛風関節痛を起こすことがあります。高尿酸 血症は、最近、生活習慣病の一つとして動脈硬化との関わりも注目されています。尿酸値は、高たんぱく食品やプリン体を多く含む魚肉類の摂取、アル コールの多飲等により上昇するため、まずは食事の是正が必要になります。透析患者さんは、腎臓からの尿酸の排泄が低下するため尿酸値が通常より高 い場合がありますが、尿酸は水に溶けやすく透析で除去されることや透析後血液がアルカリ性に傾き尿酸塩ができにくいこと等から痛風発作を起こすこ すことは殆ど見られません。透析患者さんに処方される高尿酸血症治療薬には、尿酸生成阻害剤の「ザイロリック錠:商品名」がありますが、腎排泄性 で蓄積されやすいので用量の調整が必要です。又、肝障害、血液障害、発疹等の副作用を起こすこともあり、痛風発作の既往がある人を除いて使用が控 えられています。今春、40年ぶりに日本で開発された高尿酸血症治療薬「フェブリク錠:商品名」が新規に発売されます。「ザイロリック錠」と同様 に体内で尿酸を生成する酵素(キサンチンオキシゲナーゼ)の働きを止めることで尿酸値を下げますが、「ザイロリック錠」とは構造が異なり、胆 汁排泄型なので軽度から中等度の腎機能低下の人へも使用(通常量一日一回の投与で有効)しやすいという特性があります。透析患者さんへは、低用量 から投与されると思います。 

うつ症とその薬
 透析患者さんは、病状や治療で受ける苦痛、病気の経過に対する不安、仕事の制約等の精神的ストレスにより、睡眠障害や、食欲不振、意欲減退等を 招き、うつ症状がおこりやすいといわれます。現在、血液透析の治療方法と患者さんの予後(入院・死亡等)の調査をしているDOPPSでは、日本は 欧米と比べ、うつ病の診断、治療の頻度の低い報告がみられます。欧米では精神疾患に罹るのは知性の高さを示すと考える傾向にあるといわれ、日本で は診断がきちんとされていないことが問題といわれています。透析患者さんのQOL(生活の質)と予後をよくするための精神面の取組みも大切になり ます。うつ症状に対しては、まわりの人の気づきや理解のもとに、専門医療機関での早い診断と、治療がのぞまれます。薬剤治療は以下によります。う つ症状は、脳の神経細胞間の情報を伝える物質(セロトニン、ノルアドレナリン等)が不足すると現れると考えられ、抗うつ薬はその細胞間のセロトニ ンやノルアドレナリンを増やし情報伝達の働きを活発にします。従来の抗うつ薬は、口渇・排尿困難・眠気・便秘等の抗コリン作用(神経伝達物質の一 つであるアセチルコリンの作用を妨げる)や眠気等の抗ヒスタミン作用の副作用がみられました。最近の抗うつ薬は、セロトニン系にのみ作用する SSRI剤やセロトニン・ノルアドレナリンに作用するSNRI剤では副作用が少なくなっています。(一部透析患者さんには減量が必要な薬もありま す)抗うつ薬にはいろいろな特性があり、自分勝手に量を調整したり中止すると再発しやすいため、医師の指示を守ることが大切です。

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